2010年5月20日木曜日

Max and Rastus


屋根裏で古い雑誌の整理をしていたら、こんな記事を見つけました。
ニュージーランドではとても有名な猫ちゃん、ラスタスです。

ラスタスは、とても珍しいバイクに乗る猫。
ある日マックスさんは、バイカーの集まるフリーマーケットで女性に子猫を預けられます。
「少し抱っこしてて」。
女性はそのまま戻ることなく、小さな黒猫はマックスさんの愛情の元、バイク乗り猫ちゃんへと成長します。
オールドバイクで堂々と走る2人の姿はあっという間に有名になりました。
そしてCMに出演したり、グッズが販売されるまでに。
その売り上げは、SPCA(Society for the Prevention of Cruelty to Animals) 動物虐待防止団体に寄付されていました。

ところが1998年、突然の悲劇がマックスさんとラスタス、そしてマックスさんの恋人を襲います。
3人の乗るバイクに対向車線をはみ出した乗用車が正面衝突。
強い絆で結ばれた3人の魂は、瞬時に天国へと旅立ちました。
お別れには、彼らの走る姿をこよなく愛した1000人を超すバイカー達が集ったそうです。
颯爽と風を切るMax&Rastusの姿は、今も語り継がれています。

http://www.petsonthenet.co.nz/maxandrastus.htm

走っているバイクにバランスよく乗る。
猫のしなやかな筋肉と高い運動能力を以てすれば、難しいことではないのかも知れません。
でも飼い猫の臆病な性格を思うと、爆音のバイクに乗るなんて考えもつかないこと。
ふたりの間にあった信頼と絆が、どれほど大きなものであったかがうかがえます。

素晴らしい日々を重ね、予想もしなかった悲しい最後を迎えたふたりの旅。
けれども、私は心からふたりを羨ましいと感じます。
固定概念に縛られない自由な空気。
種族を超えた絆。
Max&Rastus は、自由を求め続ける魂同士、深い理解と思いやりで結ばれていたソウルメイトだったのでしょう。


一方、快適な部屋の中だけで生きる我が家の同居人たち。
窓ごしにひなたぼっこするその毛皮のなんともいえない太陽の匂い。
風の匂いを嗅ぎ、目を細める野生の表情。
体高の何倍もの高さにジャンプする能力と素晴らしい瞬発力。
ふとした瞬間に「動物であること」を見せつけてくれる時、私の心は4本肢への尊敬と愛しさでいっぱいになります。
それなのに、ヒトも悲鳴をあげるほどの牙と爪を持ちながら、その攻撃相手はソファとぬいぐるみ。
動物の傍らに自然がない、ということは、どれほど不自然であることでしょう。
自然の緑や黄を背景に佇む動物の姿ほど美しいものはありません。
もし自由に外に出ることができれば、その野性と生命力は何倍もの輝きを取り戻すはず。
彼らの幸せを考える時、いつも複雑な想いを抱きます。
守られていることが、奪われていることだと。
彼らは気づいているのか、いないのか。。

病院のケージで一生を過ごす猫。
殺処分となる28万頭(年間)の猫。
自由と引き換えに、過酷な環境でわずか数年しか生きられないノラ猫。

様々な小さな命を思う時、ラスタスの一生は類まれなる素晴らしいものであったと確信します。